煙草(ショートショート)

どうもどうも 

今日はね、ショートショート(短編小説)を書いてみたんでね よろしければ読んでね

 

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" 初老の男は煙草に火をつけた。 少し長めに吸い込み吐き出した煙は散々と散り空の彼方へと吸い込まれていった。

 

煙草に手を出したのは男がまだ高校生の時、好きでもない勉強、部活、アルバイト 自分から望んだ物とはいえ、あまり活発的ではなかった男にとっては十分堪える日々の連続だった。 そんな時 興味本位で煙草を吸い始めた。 どんな事でもこの一服の為なら頑張れる気がしてきた。 それは単なる思い込みではなかった いや、思い込みなのかも知れない ただ「後で一服しよう」の一言が活力になった。 

しかし、周りの友人は良く思わなかった。 「百害あって一利無しの煙草なんて吸わないほうがいい」と誰しもが言った。 それは男も分かっていた が 辞めなかった。煙草が男を支えていたからだ。

 それから数十年 何度か恋をする事もあり 美しい女性を射止める為に禁煙も試みた。しかし上手くは行かなかった。勇気を出し告白をしても振られてしまいそのショックでまた煙草に手を出す いつもこの繰り返しだった。 最近は恋をする事もめっきり無くなり禁煙をする理由が無くなった。 

 

 

1本目の煙草を吸い終わり惰性で2本目に火をつけ再び吸い始めた するといきなり苦しくなり酷くむせてしまった。 

「ココまでむせ込んでしまうのは初めてだ。」そう呟き恐る恐るもう一度吸ってみたが今度はむせることはなかった。  そのうちむせた事も気にしなくなり男は空に吸い込まれていく煙を眺めながら物思いにふけていった。

 

しばらく経ったある日会社の喫煙所で同僚といつものように一服していると また唐突にむせ込んでしまった 余りにも急なものだったので同僚は「大丈夫か」と声を掛けた 落ち着きを取り戻した男は「大丈夫だ この間も同じことがあったが風邪のようなものだろう」と言った。

「しかし、風邪にしてはおかしいと思うぞ。一度病院で診てもらうべきだ」と勧められたが そこまで気にしてない男はその場しのぎで返事をし 再び煙草を吸い始めた。

その後も何度かせき込み 次第に激しくなってるような気がしたが 年によるものだと決めつけ 近所の薬局で買った風邪薬を飲み済ませていた。

 

 

ある日仕事が終わり家でテレビを観ていたら 病気に関する番組をしていた そのうちの一つで煙草が原因の病気が紹介され その病気の症状に「酷くせき込む」とあり少し不安になった男は休日を使い病院に行く事にした。 正直億劫ではあったが、命に代わるものは無いと、考える事にした。

そして休日 昼過ぎに起き簡単に身なりを整え病院へと向かった。

医師に「今日はどうされたのですか?」と尋ねられ「最近煙草を吸うと咳が激しく出るようになり」とありのまま伝えた。 「なるほど、とりあえず検査しましょう」と医師に言われるがまま従い様々な機械を使い全身の隅から隅まで調べ上げた。その後 結果が出るまで待っているよう言われ待合室の椅子に腰掛けた。

慣れない環境だったせいか少し疲れてしまった 

「はぁ、せっかくの休日なのに疲れてしまった。煙草を吸いたいな」とため息まじりに呟いたが結果を聞くまでは煙草を我慢した。

 

しばらくすると名を呼ばれ診察室に入り医師の前にある椅子に座り静かに結果を待った。

目の前には体内を映した写真が並んでいるが何の知識も無い男にとっては それが何を示すのかわからなかった。

しばらくすると医師が口を開いた

「申し上げにくいですが、重度の肺の病気です。手術も難しいかも知れません。緊急入院してもらう事になるので 煙草は辞めてください。」そう告げられ 男はショックを隠せなかった。

一度荷物を取りに行きたいと言い病院を後にし 家の近所にある小さな神社へと向かった。

「こんな時は神様しか頼れない」「あぁ神様よ、もう私は死ぬしか無いのか、どうか助けてはもらえないか」と呟き拝んだ

その時何処からともなく声がした。

「お賽銭も入れず図々しい奴め」

突然の事に男は驚いたがこう続けた

「あなたは神様なのですか? お賽銭は今入れますので」とポケットにあった小銭を投げ込んだ

すると謎の声は

「ふむ、よかろう 紛れもなく我は神である」

「あぁ、そんな!私は煙草を吸っておりそれが原因で重度の病気になってしまい手術も難しいと言われたのです タバコも辞めますので どうにか救っていただけないでしょうか」

男の要求に対して神の返答は非情なものだった

「それは出来ない」

「何故です 貴方が神であればなんでもできる筈だ」

「神は万能ではないからだ。我は人々を創造した。しかし、操る事は出来ない 各々が自我を持って暮らしているからだ。我はそれをただ眺めるだけなのだ。」

「なんてことだ...なんでも思いのままだと思っていた神様が何も出来ないだなんて....」

男は酷く落胆した そしてこう続けた

「ならば 未来を見る事は出来ないのですか せめて今後の成り行きを知って覚悟を決めたい」

「それは出来るが オススメはしない それでもいいのか」

「構わない 今すぐ私の未来を教えてくれ」

しばらく応答がなかったが また何処からともなく声が聞こえてきた

「我は神だ お前の未来を見たぞ」

「おぉ 教えてくれ 私は一体どうなるんだ」

「まず手術についてだが、」

男は息を飲んだ

「タバコを辞めれば成功はするだろう」

「それは本当なのか では今すぐ辞めるとしよう」

「待て、お前がタバコを吸い始めたのは日々の鬱憤を晴らすためだろう つまりお前にとってのタバコは唯一の吐け口というわけだ」

「それはごもっとも、それがどうしたというんだ」

「そのタバコを辞めたら身体の弱ってるお前はストレスが溜まる一方で日々衰弱していくだろう」

「そんなのデマカセだ! そんなことあるわけがない」

「信じないならいい、つまりタバコを辞めても辞めなくても お前にとっていい事は無いのだよ」

それを最後に神の声は聞こえなくなった。

 

辞めなくてもいい しかし辞めない訳にはいかない

その葛藤の中 男を虚ろな表情を浮かべ 残り一本のタバコに火をつけた。

吐き出した煙がユラユラと揺らめく。

 

「やはり辞めないのだな まぁいい人間は地球にとって百害あって一利なしだからな」

「近いうちに男も死ぬだろう」

空高く飛ぶ宇宙船から男を見ていた異星人はこう続けた。

「人間も まさか地球が我々の移住先の星に選ばれるとは思ってもいないだろうな、 今のうちから少しずつ数を減らし侵略の際に抵抗出来なようにされてるなんて考えもつかないだろう。」

「しかし人間は哀れな生き物だ 自ら煙草という害を摂取し、居るはずもない神に助けを求めそれを聞いた我々が嘘つき それを信じ絶望する なんとも哀れだ。」"

 

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微妙かなぁ

 

神だと思っていたのが地球侵略を企む異星人だったっていうオチやけど微妙かなぁ

 

オチがいつも浮かばないんだよなぁ